0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
暑い夏が過ぎ、家を出ると金木犀の香りが何とも心地よい。
定刻どおり、いつものバス停留所で?バスを待つ。すると元気な挨拶で美咲が近づく。
遠くに見え始めていたバスが到着し、二人はバスに乗り込むといつもの他愛もない
会話が始まる。
「何、疲れた顔しているのよ。運動会も過ぎて親がバテてしまってるんじゃない?」
美咲が優子の疲れた様子を伺う。まだ子供も小さく手が離せず七転八倒しながらも、
今の現実に目を向け奮闘している、そんな京子の背中を自分の過去と写し合わせるように
そっと見守っている同僚の美咲。
「そうよね、うちの息子もその位の頃は、ママ、ママってうるさかったけど、
今思えば可愛かったよなぁ。最近はもう思春期に入ってきて、口も聞いてくれないのよ。
でもさ、あれで色々と葛藤しているのよ。きっと。その姿がまた可愛いじゃないのっ!」
美咲は同じシングルマザーであるが、いつも明るく今を自分の状況を受け入れている。
その意思の強さと生き生きした姿に励まされる。
ーブザー音。
職場近くの停留所にバスが到着する。そこから5分ほど歩いたところにある
ドラッグストアが今の職場だ。スタッフルームに到着すると早々に仕事着に着替え、
スタッフ一同が整列をし、店長の朝礼挨拶を待つ。
最初のコメントを投稿しよう!