プロローグ

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「心哉、あんたは感情なんて持ったらだめよ」 母は言った。 部屋は荒れていた。 「感情なんて持つから、こんな目にあうのよ」 「…うん、わかった」 母はボロボロだった。 月の光が窓から差し込み、頬に伝う涙に反射していた。 「………心なんて、もう、いらないっ、」 「え?」 「だって必要ないものでしょ、私たちには、そんな、もの」 お母さんはそう言った。 名前に心が付く僕には僕が必要ないと言われたような気がした。 「……………うん」 そうだね、僕には頷くしかなかった。
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