― 絶望の淵にて ―

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「何言ってやがる」 「向こうのリーダーの力は相当っすよ。…ウルフィーはまだ本気を出してなかったからまだ分かりませんけど…ウルフィー、あんたが力を出したら自分の身がどうなるかくらい……」 「だからだ!!」 バン!とウルフィーは診察台を叩きつけながら立ち上がり、暁を睨みつける。 「俺は!あいつを倒さねえと自分にけじめが付けられねえんだよ!! 暁!どうして俺らが生き残ってるか覚えてねぇのか!?このクソみてぇな能力植え付けられた身の俺らが!!」 それを聞いてぐっ、と暁は唇を噛む。 相手が何も言ってこないのを見て、息を整えて再び叫ぶ。 「俺は、あいつの父親のせいで!!!」 「はーい、ウルちゃん、喧嘩するならお外でやってねェ?というか、こんなトコで仲間割れするなんてらしくないんじゃない?」 間延びした声がウルフィーの剣幕を制止する。 声とは裏腹に、ベルナールの目つきは真剣そのものだ。 「…ッチ」 「…ベルナールさん、申し訳無いっす。自分らの話に」 「いいよォ~別に。…どっちにしたってウルちゃんも暁クンも行かなきゃその気持ち燻ったままでしょ?きっともうスラムに居るはずだし」 ほら、行った行った、という風に二人を促す。暫くベルナールを睨み付けていたウルフィーも舌打ちしつつ上着を羽織る。 一通り身支度を整えた後、ちらりとベルナールの方を見る。 「ベル、てめぇはこの後どうする」 「どうしようかなぁ~。戦いに巻き込まれるのはごめんだからどっか遠くで見てるよォ …流星ちゃんと、キミたちの恨み嫉みが晴れるのを、さ」 「…フン、悪趣味め」 ウルフィーは吐き捨てる様に、暁はベルナールにぺこりと一礼して部屋を後にした。 そして、誰も居なくなり自分一人になった部屋の天井にぽつりと独り言。 「バイバイ、ウルちゃん、暁クン …どうか、君たちの未来に幸あれ なんてね」
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