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能力を完全開放したウルフィーの攻撃は、ひとつひとつが重く、ぎちぎちと重みが身体へと掛かり続け、体力も奪われていく。
このままでは埒が開かないと踏み、ノエルは歯を食いしばり踏みとどまっている力を緩ませない様に気をつけつつ、声を上げる。
「ッ、君は!どうしてこんなことをしているんだい!」
突然何を言い出すのか、といった風にどこか失笑気味に笑みを作りつつ、さらに重力をノエルの方へ掛けつつ、答えた。
「どうしてだと…?くだらねえ質問するな。
これは復讐だ。
俺らは星座と流星の戦争に巻き込まれた。どっちも憎い。何も無けりゃこんなところでこんなことしてねぇって思えば思うほど腹の中で汚え感情が渦巻くんだよ。
このままの気持ちで死にたくねえ。
ここで終わりにしてやるって決めたんだ。
だからアンタも殺す。父親と同じように…」
「そうじゃないだろう!」
突然の怒号にウルフィーはピタリ、と紡ぎかけていた言葉を失ってしまう。
それを見て、ノエルは荒げた息を整え、静かにどこか諭すように、真っ直ぐウルフィーを見据えて口を開いた。
「君は、俺の父さんを殺してまで生きたかったんじゃ無いのか」
「――!!!」
その一言に、今まで見せたことの無いような反応を示す。
驚きの表情は、みるみるうちに怒りへと色を変え、赤い瞳が更に赤みを増す。
と思った刹那、刃の先が右目を掠めた。
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