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その問いかけと共に、ズッ、と一気にその場の空気が重くなる。
見ると、ウルフィーの周りにはまたも黒い影が出現し、彼に取り巻く。
「これで、最後だ。俺も、アンタも」
その言葉を意味するのは、おそらく自分自身も限界が来ているのを察している為だろう。
きっと、この一閃で終わりだろう、と直感しつつ。
同時に地を蹴り出し、互いの間合いに入る。
先に先制したのは、ウルフィーの方だ。
黒い影を纏い、鋭く、流星のように禍々しいまでの大きさの爪を振りかざす。
「ッの!」
大きく尖った黒い爪が目に見えぬ程の速さで襲いかかる。
避けようと思ったが、速すぎでその像ははっきりと視認できず、避けることが出来なかった。
「ッ!!」
深く切り裂かれ、左腕から血が勢いよく出る。
痛みも今までにないくらいで、視界が歪み、体勢を崩されかけたがなんとか堪えた。
しかしその時、一瞬、ウルフィーの足がふらつき、明らかに隙が出来た。
能力の強制解放の為か、長い時間流星の能力と同調していたためだろうか。
それは本人も気づき、すぐに軌道修正をしようとするが、目の前に居たはずのノエルが居ない。
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