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「俺にとって、"生きろ"と"死ぬな"は違って聞こえる。
だから、君は…君とそこの彼は、まだ何も世界を知らない。知らないまま"絶望しかない"と決めつけて生きることを諦めちゃダメだ
だから、俺は君を殺さない
生きて、もっと、幸せを掴むような生き方をして欲しいんだ」
最後にへらっと笑ってみせてから、槍の刃先を首筋から外した。
ウルフィーは何も言えずに、ただただノエルを見ていた。
そしてノエルの父親と目の前にいる彼を重ね合わせ、じわりと目尻に涙が溜まり、頬に一筋涙の跡が出来る。
ノエルは床に組み敷かれていたウルフィーを起き上がらせつつ、壁に寄りかからせるように体勢をさせながら、どこか生徒に物を言い聞かせるような口調と顔つきになる。
「でも、罪は償わなきゃダメだからね。とりあえず君たちがこれ以上動けないようにしておく。
…俺は、これから流星の王の所へ行ってくる。生徒も、君たちアオフシュタントの子達も、救うために」
ウルフィーにそう言い、解放されたアディの方に向き直る。
「アディ、アオフシュタント用のお守り、持ってるよね?」
「え、ええ。3つほど…」
「じゃあ2つくれる?1つはアディが持ってて。二人の能力封じと…俺が流星の王の所に行っている時に二人がやられたらいけないから、簡易的な結界張るよ」
「これで、結界って…どういう…」
「こうするんだよ、ッ!」
ぐしゃり、と卵が割れるように中身が床一面に広がっていく。
卵を割ってしまうと、お守りにして首に提げる時より効果が出る時間が短くなるが、効果が出る範囲は広がるのを逆手に取っての判断だろう。
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