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「ここ、が最下階みたいだね」
「ホール…、ここが、地下書庫でしょうか?」
「そうみたいだね」
先にノエルが階段を降り、後方に続くアディに「少し待ってて」と手で合図をする。誰か居ないかどうかということを確認するため、ホールの中を歩く、
その刹那、ノエルの左頬目がけてナイフが飛び、後ろの本棚に突き刺さる。
頬には赤い一筋の線ができあがった。
「よぉ、やっぱり来たか。…流石俺が見込んだだけはある」
血を拭いながら、ナイフが飛んできた方向を凝視する。
遠くに、自分たち以外の誰かが居る。まだ目視できないが、誰なのかはここからでもはっきりと分かった。
「ウルフィー・アルベルトだな?」
「待ちくたびれたぜ。ノエル理事長サン?」
聞いたことがある声。
以前、星座の卵を扱う研究室で対峙したことがある、そう、アオフシュタントのリーダーその人物の声だった。
一番面倒くさい相手とまさかこんなところで出くわしてしまうとは、と心の中で呟きつつ、まだ姿が見えない相手に聞こえるよう、大声で問う。
「こんなところで、何をしている!そして、何を企んでいる!」
「知りたいか?」
ひゅっ、と風を切る感触を肌が捉えた、と思ったつかの間、
ウルフィーが間合いを詰め、目の前にいた。
「ここで倒れりゃ知らなくていいことだ」
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