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どろりとした黒い影がウルフィーの脚へととぐろを巻くようにまとわりつき、両足が黒く何か鎧のような輝きを持った姿へと変貌した。
ウルフィーの能力、影憑き。
流星の力を自身の肉体に憑依させ、人間離れした攻撃を得ることが出来る。
柄の長い聖槍を振るう戦闘スタイルのノエルにとっては、胴体がら空きになってしまい、潜り込まれて蹴りや拳なんて来たらたまったものじゃない。とても嫌な相手だ。
その影をまとった脚が鋭く頭目がけて入る、
のをすれすれで避けることが出来、そのまま後ろへ間合いを取りながら、ノエルは聖槍を武装させる。
ランプは、一番危険度の高い赤色がらんらんと光っていた。
「これは、能力の出し惜しみしてられないね…ッ!」
すぐさま槍の刃は殲滅モードへと切り替わり、鋭く尖った槍先をウルフィーめがけて斬りかかるように、聖槍を振るう。
長い四肢を生かし、ウルフィーに間合いを詰められないよう攻撃を畳みかけていく。
何度かウルフィーの腕や脚にかすった感触はあったが、かすり傷程度で避けられてしまう。
「アディ!!下がっていろ!!」
後方で戦いの行く末をただただ見ているだけでしかないアディは声も出せないのか、ただ首肯し、戦いの舞台から少し距離を置き、身構えている。
それを見て、どこか呆れたようにウルフィーはノエルに耳打ちをする。
「別にガキ捕まえたりしねえよ。俺の連れにも言ってある。
…俺の獲物はアンタだけだ、ノエル・冬星・オックスフォード」
その瞬間、槍を持つ手を蹴られ、一瞬槍から手を離してしまいそうになるが、身体を翻しながら、刃を床へ突き刺し、身体の軸を元に戻す。
影―流星の力―がとりついた脚の攻撃力を甘く見てはいけない。一つ、大きく息をつきながら、再び体勢を立て直した。
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