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立て直すと同時に、地を蹴り上げ、ウルフィーへと切り込んでいく。
それに対し、鎧と化した腕で刃を食い止め、押しかえさんとばかりにぎりぎりと抵抗する音がホールに鳴り渡る。
「ッ、ハハ…なかなかにしつこいなお前、っ!」
「ここで倒れるわけにはいかないから、ねっ!」
刃を開放させる為、ノエルは長身を生かし、ウルフィーの腹部を蹴り飛ばし、その反動で腕から槍を引き離した。
ふぅっ、と一つ息を整えると、らんらんと赤色に灯っていたランタンの色が黄色へと変化した。
と同時に、今まで切り裂くのに特化していた刃先が槍本来の突くのに特化した形に変わる。
ウルフィーが刃先の変化に気づいた時には、すでに刃の切っ先が自分の方へと向いていた。
「ッ、ふ!」
ギリギリのところで身を翻し、間合いを少し空ける。
が、それを逃さず、反撃されまい、と立て続けにノエルはウルフィーに攻撃を畳みかけるように、更に刃を突くよう、さらに確実に仕留めるよう、下から攻撃を加える。
「―ッ!」
二度目の刃の切っ先がウルフィーの首元すれすれに入る。
間一髪ウルフィーは避けたが、ぷつっ、という何か紐のようなものが切れた感触がした。
その感触と同時に、カシャン!、と澄んだ音が二人の間に、そしてホール全体に響いた。
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