第1章

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「推理小説的状況だな。」 洋介はつぶやいた 雪山に洋館、しかも孤立している。警察に入って2年になるが、ここまで推理小説的状況なのも珍しい。 「とりあえず入りますか」 いつまでも外にたっているわけにも行かず彼は中に入った。                 * 洋介、浜田洋介は警官である。 だが推理小説だけを便りに推理しているので実績はないに等しい、早い話がへっぽこである。 一応頭はいい、ただ推理小説ならすぐ自白するはずの犯人がなかなか口をわらず、推理小説なら説得すればあきらめるはずの犯人がいつまでも立てこもる。こういうちょっとした違いにすぐ引っかかり犯人候補を変えたり、一人だけで突入したりする。 しかもよせばいいのに立ち止まる、うまくいき過ぎじゃないかとか、何か罠があるんじゃないかとか、そうしている間に犯人が逃げ出したり先を越されたりする。 こういう行動のせいでへっぽこの名がつけられているのだ。 今回の事件の現場は雪山にある3軒の洋館 被害者は23歳の男性、死因は首を絞められて窒息死、容疑者は後から来た警官以外の21人である。 洋館は一番端しか使用していない、21人普通に入れたからだ。 警官が来てすぐ雪崩がおき。近くにいた人しか来てないせいでメンバーはちょっと…いや結構…相当頼りない。というか、はっきり言って事件を解決できる気がしない。 人数も少ない、たったの15人である。 でも、まあ事情聴取ぐらいは普通に終わった。 とりあえず、一室で意見交流する 「今日は食欲ないからご飯抜きだな。」 と言ったのは橋中光義という警官である 「とりあえずアリバイがないあの人が怪しいと思う」 と音子の事は無視して洋介。 あの人とは一人だけアリバイがなかった被害者の従兄弟である。 「いやあの人はやってない。」 と言ったのは猪井健太という警官である。 「根拠は?」 「あの人はそんな事やりそうに見えないから。」 少しの間そこは静寂につつまれた。 「・・・・・・・・それだけ?」 沈黙を破ったのは洋介である。 「うん、それだけ、悪い?」 またしばしの沈黙。 「悪いも何も根拠になってない!」 沈黙を破ったのはやっぱり洋介だ。 「その人がやりそうに見えるかどうかって立派な根拠じゃないの?」 「ないの!」 「そんな事ないわよ、それが一番大切なんじゃない」 と言ったのは堀田芳子と言う警官だ。 「…」
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