4人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
暗い
何も見えない
そのなかで微かに聞こえる声
「お前の仕事はーーーをーーーーだ。」
何を言ってるんだ…
「失敗は許されない。お前にはそれしかできないのだから。」
お前は誰だ……嫌だ
「失敗したらわかっているな?」
嫌だ…いやだ…イヤだ……
俺は…僕は…自分は…っ
「私のかわいいーー」
…ぅわああぁぁぁあああ!
ーーい!
ーおい!大丈夫か!?
~~~~
ガバッ
「はぁはぁはぁ…っ」
勢いよく起き上がり肩で息をする。
見開かれた瞳に映るのは知らない部屋、そして知らない青年の顔。
だいたい二十代前半と言ったところで、肩まで無造作に伸びた銀髪に暁のような真紅の瞳をしている。
「大丈夫か?だいぶ魘されてたが」
心配するような表情で見つめてくる青年。
「俺は…」
「アルシナ森林で倒れてたんだよ。覚えてないのか?」
「アルシナ森林?」
聞いたことのない森だった。
「覚えてないならいい。じゃあ、名前は?俺は暁斗(アキト)・ヴァンフォーレ」
「俺は……」
思い出せなかった。
俺は誰でどこからきたのか、何も。
「まさか、それも覚えてないのか」
そういわれ、うなずく。
最初のコメントを投稿しよう!