告白

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「なぁ、私は好きなんだ、お前のことが。なのにそれに気付かないなんて、馬鹿だよ、お前は」  ……。 「すまん、気付かなかったんじゃない。気付きたくなかったんだ。これまでの関係が崩れるような気がして」  そういうと櫻井は目を拭った。そして信じられないという風にこちらを見る。 「……やっぱりお前はずるいよ。いつもそうだ。知らないふりして誰にも気付かせない。そういうことが上手かった」 「そうかもしれないな。だから転属の話が出た時に好機だと思った。だから俺も飲んだんだ」 「――――俺もお前のことが好きだから、本当は転属なんてしたくねーよ」  言ってしまった。隠し続けた気持ちを。しかしこの様子だと覚えてなさそうな雰囲気だな。 「……聞いたぞ、確かに。絶対に、忘れないからな……」  涙声にそう言われて、泣き始める。……そうか、だから高校の時に浮いた話がないはずだ。
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