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上司の元から帰り、パソコンに向かう。パタパタとキーボードと戦う。データを打ち込んでいく。何だ、今回のは簡単だった。
「おっす、お疲れさん」
そう言って櫻井が缶コーヒーを差し入れてくる。
「おっす、サンキュー。お前は仕事いいのか?」
そう聞くが元々仕事が無いことを知っていた。まるで給料泥棒だと思うがまさにそうだ。
「全然入ってこないからどうなんだろうね。この会社も危ないんじゃないかな」
やっぱりそうかと思いつつ机に置かれた缶コーヒーを飲む。相変わらず俺の好みを知っているやつだな。
データを上司に提出してそのまま各々の机で暇をつぶす。カチカチと携帯をいじってはネットサーフィンくらいしかすることもない。
ガチャリとオフィスの扉が開くのを全員で確認した。社長が直々に出てきて話し始める。
「あー……実に話しづらいことなのだが、このオフィスもとうとう閉鎖されることになった。各々違う部署に転属になる。本当に、すまない」
……まぁ予想はしていただけにそこまで衝撃はない。衝撃はないが、そうか。転属……。
「それについては後日通達する。本当に、これまでありがとう……」
そう言って頭を下げる。転属か。考えたことなかったな。
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