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「き、きさ…木崎様!」
「…はい?」
思わず!、といった様子で叫んだ慧の呼び掛けに不思議そうに木崎様が首を傾げる。
無意識に呼び掛けたのか、木崎様の視線が自分に向いたことに動揺した慧の顔色が、青だか赤だか解んない色から白へと代わり、いまにも倒れるんじゃないかってぐらい動揺している。
「いや、あの…違…」
「あ、慧くんいらっしゃーい。来てくれたんだ」
「まっ眞城様ぁ!!」
最近お美しさに加えて可愛らしさも増していると評判の木崎様が不思議そうに首を傾げた背後から、ひょっこりと顔を出す眞城様に慧の顔色が元に戻って笑顔に変わる。
いつもの毛先を軽く跳ねさせた髪形ではなく、きっちりとセットされた髪形なんで一瞬わからんかった。
「眞城のお友達ですか?」
「俺としてはお友達になりたいんだけど、いまのとこ絶賛フラれ中かな」
「おや」
眞城をフるなんて。と、からかうように少しだけ笑った木崎様が用意されたティーセットを持って奥のテーブルへと向かうのを見送ってから、眞城様がにっこりと笑顔を浮かべた。
「おかえりなさいませご主人様。お茶の準備が整っております」
執事服を着て、胸に手を当て、軽く礼をする仕草が腹立つほど様になっていて、回りの眞城様ファンがキャーっと小さく歓声を上げるのに少しだけ苛々とした。
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