脇役A君

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眞城様に丁寧にエスコートされ、おっかなびっくり座ったテーブル席は文化祭の教室にあるとは思えない洗練されたもので、普通の高校生では行けないお高めの喫茶店にありそうなテーブルセットに迂闊に触れない。 なんだっけこれ、TVでみたイギリスとかのお茶会にあった、タワーみたいな奴にお菓子とか乗せるやつ… 「お待たせいたしました、焼き菓子とお飲み物と…俺からのサービスのアイスになります」 「うえっ!?」 気障な仕草でウインクをする眞城様に硬直する慧。そして目が据わる俺。 「それでは、ごゆっくりお楽しみください」 俺が怒鳴りそうになる寸前で優雅な一礼でテーブルから離れていった眞城様と、赤い顔でその背中を見送っている慧へ交互に視線を向け、なんだか泣きそうになってしまった。 俺では、慧にあんな顔はさせられないし、眞城様みたいな振る舞いも出来ない。 俺が執事の格好をしたところで、ネタにしかならないんだよなぁ…… 「栄ちゃんどーしたの?食わねーならもう一個貰っていい?」 もぐもぐと焼き菓子を頬張って、口の中のそれを紅茶で流し込みながらそわそわと俺と焼き菓子を見比べる慧に、なんだかほんわりとした気分になりさっきまでの暗い気分が流れていく。 「いいよ。俺、甘いのはそんなに好きじゃないし」 って言うか、自分で食うより慧が美味そうに食ってる姿を見る方が好きだし。 それでも小さめのフィナンシェをひとつだけ手に取って、口に放り込む。 「ああ、でも甘さ控えめで美味いかも」 やっぱり、コンビニにあるような菓子とは全然違うわ。
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