脇役A君

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「……ん?」 もぐもぐとフィナンシェを飲み込んで、コーヒーを一口飲んでひといきつくと、じぃっとこっちを見ていた慧と視線が合う。 「なに?慧」 「んーん。栄ちゃんがちょっと元気になったみたいで嬉しいなって」 「元気、なかったか?」 そんなつもりはなかったけど、元気なかったかな?嬉しそうな慧の笑顔にほっこりとしながら、残りの菓子を食べるようにジェスチャーで示すと更に嬉しそうに表情が綻んだ。 「元気なかったよ。栄ちゃんは一緒に来てくれるって言ってたけど、やっぱりこーゆー場所は好きじゃなかったかなって心配した」 もぐもぐと菓子を口にしながらも、俺の事を気遣ってくれる慧に泣きそうになる。 「俺が、慧と一緒に居たかったから此処に来たんだよ。元気に見えなかったなら、多分、眞城様がかっこよかったから」 「……ん?え?」 「俺が、眞城様みたいな格好したって眞城様並みに格好よくなれる訳じゃないんだよなーって、思ったらちょっと……」 「あ、ああ。そういう」 なにやら驚いたように目を見開いた慧が安心したように息を吐いて、そしてにっこりと安心させるように笑う。 「でも、栄ちゃんだって絶対似合うよ。確かに眞城様とはタイプは違うけど、似合わない筈ないよ!」 「慧……っ俺、執事似合うと思うか?」 「似合う似合う!栄ちゃんだってかっこいーもん!」 やばい。ちょっとマジに泣きそうなぐらい嬉しい。
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