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「でも、どうして琥珀君を止めるのがあたしなの? チェリーが言えばいいじゃない」
「そりゃあ、サブマスターを止めるのは、ギルドマスターであるエルちゃんに他ならないだろ。それに、琥珀君を守るのは、いつだって君の信念じゃないのかい?」
チェリーは柔らかい笑みを浮かべていた。
それは、あたしがあまり見たことがない顔だった。
「信念って……でも、うん。わかった。理由は納得がいかないところもあるけれど、琥珀君が何かに巻き込まれる可能性が少しでもあるのなら、話してみる」
「お願いするよ」
「でも、琥珀君は頑固なところがあるから、わからないよ?」
「構わないよ。その時は僕が止めるさ。決勝戦でね。はっはっはっ」
なら最初からそうしなさいよ……
「でも、ペインシステムの噂は気になるわね。猫ちゃんとすずりちゃんが出場する以上、心配だな」
「ならば、君が調べてみたらいいさ。君は優秀な頭脳を持っているんだ。大会に出場しないのなら、時間もあるのだろ?」
時間なら半ニートのあなたもあるでしょ?
あたしにはDVDの山があるのに!
「あたしが? でもどうやって?」
「ああ――」
チェリーは白いシャツの胸ポケットから、一枚の紙をローテーブルのあたしの前に置く。
[株式会社ブレイン・エンターテインメント インターフェース開発室 室長 絹塚 航(わたる)]
彼から渡された名刺には、そう書いてあった。
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