招待選手

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しかし新しい問題の考察は、崩された推論の解を導くまではさておくとしよう。 だとしたら、いよいよこの女子が誰であるのか、説明を始めようじゃないか。 話は俺が十九才の時にまで遡る。 ライフォールオンライン。 勿体つけた前口上なんてものはなく、ただなんとなく始めたこのMMORPGは世界中で爆発的なヒットを飛ばしていた。 さてはさてはお立ち会い。まずはことの発端、記憶をなくした俺の笑えない喜劇のお話しから推し進めてい―― 「ちょっと聞いてるの、琥珀。本当に怒るよ?」 「すみませんでした! いや、違う違う! まだお前の新品の下着なんて見ていないって」 「やっぱり見たんだ。どうして見てないはずの琥珀が、わたしがこの下着を今日おろしたことを知ってるの? 真面目な顔して視線だけ下に向いているからおかしいと思った。琥珀のエッチ!」 「いや、お前が見てって言ったからさ……」 「最低! わたしが見てっていうものは、琥珀の中では全部エッチなことに繋がるんだね。大体わたしが『ちょっとこれ見て』って言いながら、パンツ見せると思う? ワンピのスカートをぺろんとめくるとでも思った? Mの字に股でも開くと思うんですか! あなたの頭はあれですか? 恋愛脳という理解の範疇を超えた論説のさらに上をいく、変態脳なんですか? わたしには『待っていろ』なんて言っときながら、最近ではエルティさんに『KOHAメーター』が振りきっているくせにー。もうほんとやだ。最っ低!」 恋愛脳と変態脳という漢字は似ている。 俺は思った。 某日本人メジャーリーガーの安打数を掲示した手作りボードの流用は、さておくことにしても。 さてさて。ここまできたら、もう説明の必要はないのではないだろうか。 俺と会話をしている彼女が誰なのか? 口にするまでもないのではないか。 しかししかし、彼女がこう言うのであれば、俺だって言わねばなるまい。 おひさしぶりです。 「息継ぎしろって。猫」
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