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「むぅ! なんかキメ顔作ってるし」
猫は頬にありったけの空気を詰める。
「いや、挨拶状みたいなものだよ。前口上というかさ」
「はぁ? 意味がわからないし。そうだそうだ。見てほしいのはねえ。えへへ」
「いよいよ上の下着か?」
「本当に怒るよ? 最後までするなら見せてあげるよ」
「一足どころか、何足飛んでいるんだよ……で、どれだって?」
「待ってね。ふふふー」
言いながら、猫は小さなバッグから長方形の薄っぺらい紙切れを二枚取り出し、その内一枚を俺に差し出す。
しかし、女子の小さい鞄からは様々なものが出てくるがどういった構造になっているのだろうか。
四次元に繋がっているのか?
「公式PB(プレイヤーバトル)大会?」
猫から手渡された紙切れは、いつだか俺がカエサルを前にベスト三十二で敗退を喫した大会の観覧チケットだった。
一対一。個人戦の最高峰。
言わずと知れた、ライフォールオンラインのナンバーワンプレイヤーを決める大会だ。
「うん。もし琥珀が出ないなら、一緒に見に行こうかなと思って。琥珀が出場するならみんなで応援に行くよ?」
「ふーん。最近は暇でやることもないし、出てみるかな?」
俺はオフィーリアの一件のあと、一度もトゥルースを鞘から抜いていなかった。
確かに身体もなまっているし、腕試しと言わないまでも、たまにはいいかもな。
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