招待選手

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「まあ、無理に出るものでもないけれどな」 「うーん。明日、定期会だからユリちゃんもいるし、相談してみる」 「え? パジャマパーティーって、まだ定期的に開催されてたの?」 「そうだよ。週一でやってるよ。ふふふー」 えー…… 一度もお呼ばれしていないよ。 知らされてすらいなかったよ。 ユリの一日ログインの許可日がなくなったから、立ち消えになったものだとばかり思っていたのに。 まさか、愛すべき琥珀会は解散したというのか? 「ちなみに聞くけれど、事実上このギルドハウスの責任者と言ってもいいサブマスターは、もう呼ぶつもりはないのか?」 「来たい?」 「期待はしている」 「稀代の変態が?」 「俺が変態だということはさておくとしても、俺を上回った返しを披露するのはやめるんだ」 俺にだって、この物語を牽引してきた面子があるんだぞ! 「危殆(きたい)に瀕したね。琥珀のお家芸が」 「くっ……」 このガキ…… まさか女子高生ごときに、この戦乱の世をかき乱した知将が、歯噛みをさせられることがあろうとは。 「琥珀はパジャマパーティーで、すずりんを除く三人のうちの誰の『機体』に乗るのかな?」 「てんめー! マジで上手いことをパズルゲームの連鎖の如く重ねてくるな。崩れるのはブロックじゃなくて俺の心だからな。ブロックならぬブロークンハートだからな。それに俺だって思いついてはいたものの、会話の流れ上こっちの立場では、その手札を切れなかっただけだからな!」 「えへへ……息継ぎした方がいいよ」 「まったく……」 「でさ、誰に乗るの? 琥珀は?」 「お前な、まだ続けようっていうのか? いいだろう。ならば抜こうじゃないか。いよいよ俺も伝家の宝刀を」 「ちがくて。琥珀はさ、やっぱりエルティさんが……好き?」 「はい?」 何をどうしたらこうなったんだよ…… どこの分岐でルートを誤った? しかし、この手のピンチに、あのジョーカー男の救済なんてものは当然訪れず。 俺は久方ぶりの窮地に陥ることになる。
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