1話

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呼びとめられて、振り返るとそこには可愛い女の子がいた。 「ねぇ゛」 今日は彼女の喉の調子が良くないのか、「ねぇ」に濁点がついているように聞こえた。 僕は彼女を知っている。 昨日この高校に転校したばっかりの僕の隣のクラスの子だ。 見た目はこの高校で一番可愛いと噂の彼女。 対して僕は冴えないただの男子高校生。 彼女いない歴=年の数だよ、ちくしょう。 なぜ彼女が僕なんかに声をかけてきたのか理解不能だが、とりあえず返事をする。 「ど、ど、ど、どうしたの………かな? も、もしかして………その、道に迷った………とかかな? 」 駄目だ。 女の子と話すのなんて小学生ぶりぐらいだった………。 吃り過ぎてしまった。 きっとドン引きされてしまっただろう。 しかし彼女はそんな様子を見せなかった。 そして手で何かを伝えようとしていた。 何だよ、僕には話すことすらしたくないってことかよ。 今まで生きてきたなかで一番傷ついたよ………。 落ち込んでいる間にも、同じことをゆっくりと手で表現しているが、一向に分からない。 そんな僕の様子を感じたのか、一つ大きなため息をついた。 そして手招きをして空き教室に入った。
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