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「・・・・・・」
結構歩いたよな?
歩いても全く誰にも会わないし、建物すら見当たらない。木々が並んだ森しか見えない。
「道を間違えたかな?」と、一瞬だけ思ったが、そもそも何も覚えていなかった。正しい道とか全く知らない。
「頑張ろう」
足を止める訳にもいかないので、それから30分ぐらい歩いた。
そして―。
「あっ!」
人影をやっと見つける。森の方から出て来る彼らの元に、俺は嬉しさのあまり走った。
「すいません!」
声はちゃんと届いたようで、彼らは俺の方を振り返る。
全身緑色の肌。上半身は裸であり、下に布のズボンを履いている。
身長は一メートルと数十センチ。人間より、少なくとも俺よりは小さい。小柄だ。 彼らの手に短剣とか棍棒など、全員武器を持っている。
4人共いかつい顔をしていおり、あまり顔の違いが分からなかった。
「ゴブ、ゴブゴブ」
「あ、・・・はい?」
「ゴブゴブゴブ」
「ご、ごぶごぶ・・・」
折角話し掛けてくれているのに、言葉が分からない。残念ながら俺の知らない言語だった。
くそっ、ようやく人を見つけられたと思ったのに!
「ごぶご・・・、あ、あの! この辺に街とか村とか、何でも良いですけど人が居る所を知らないすか!?」
だからといって簡単に諦める訳にもいかず、俺は必死に身振り手振りで緑肌の彼らに伝えようとするが・・・。
「ゴブブブ!!」
「くっ」
ダメだ。そもそも俺の言葉が伝わっているかもどうか怪しい。
俺が彼らの言葉が分からないように、彼らも俺の言葉が分からなくても不思議じゃないのだ。
「ゴブッ、ゴブゴブ!」
「・・・・・・・・」
ほんと、ゴブゴブしか分からない。ゴブゴブが何なんだ。
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