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「それにあなたのワガママを受け取れないような、そんな小さな器なのかしら?彼は」
最後はおどけてそう言うと、バチンと音がしそうなくらいのウィンクをした。
「湖々海(ココミ)、いいか」
丁度いいタイミングでノックがして、みーくんが顔を出す。
「待たせて悪かった。ホテルに戻ろう」
もし彼が、申し訳なさそうな表情をしていたら。
もし彼が、怒りをあらわにしていたら。
「みーくんっ」
こんなに素直に彼の広げた腕の中に、飛び込む事は出来なかっただろう。
「ん。良く頑張ったな、湖々海(ココミ)。偉かったぞ」
「ふっ……わぁぁぁぁんっ」
愛情に満ち溢れた微笑みで、その温かい胸で。強張った心と体を受け止めてくれた。
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