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「みーくん……だいすき」
気を失う様に眠りに付いた彼女の呟きに、頬を緩めてそっと額に口付ける。
朝が来てスーツに身を包み、自分の成すべき事を果たしに向かう。
「さて。昨夜の始末を付けに行くか」
どうしてくれようか、あの醜悪な肥満男。
全ての始末が付いたらこのまま明日有給を取って、彼女のために一日を使おうか。プレゼントのお礼もしないと。
私的な事で有給を使うなど、今までなら考えもしなかったが。彼女の笑顔を見る為なら構わないと思う。
誰かを愛しいと思う事が、自分の在り様を変えるなんてな。そんな自分も悪くない、そう思えるのも彼女のお陰だ。
「誕生日が嬉しいと、初めて感じたかもしれんな」
これからの一年も君と共に在りたいと、唯一だけど本心からの望みを祈ったのだった。
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