2599人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
始発でこちらに向かった部長と合流して、あの男の会社へと向かう。
「この度は弊社の人間が大変ご迷惑をおかけいたしました」
言葉とは裏腹に晴れやかな表情をした青年が、満面の笑顔で握手を求めてくる。
「(社長だよ。最近就任して派閥争いの渦中にいたらしいよ)」
にこやかに挨拶を交わしながら、表情を変えずに部長が耳打ちしてきた。
「弊社としては事態を重く見て、彼の役職を解任して無期限の謹慎を言い渡しました」
実質のクビということか。そしてそのきっかけを作った我々に感謝してるとでも言いたげなのが、シャクに触る。
「接待の場に関係の無い人間を連れて来たという者もいましたが、そもそも自分の姪を連れて行ったのは彼ですし」
なるほど。あの男の言い分を逆手に取ったという訳だ。
最初のコメントを投稿しよう!