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「みーくん……」
「どうした?」
困惑したような表情で、俺を見上げてくる湖々海(ココミ)。
眉を寄せ上目遣いで、ほんの少し首を傾けて。あんまり可愛いのでそ知らぬ顔でとぼけてやった。
「みーくん、わたしみーくんのお誕生日を祝いに来たんですよ」
「だから?ああ、君。そちらのワンピースも色違いで」
店員に数着洋服を持ってこさせ、彼女を試着室へと追いやる。
あのあと、目覚めた彼女を連れて街に出た。出張とはいえせっかくの遠出だ、観光して帰ろうと提案して。
彼女の嫌な記憶を楽しいものに塗り替えたい、ただそれだけ。
彼女を自分好みに飾り立てたい欲求も満たせて、一石二鳥だ。
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