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渋る彼女に、
「手伝いが必要なら、一緒に入ってやろうか」
と耳打ちし。トマトのように真っ赤になった彼女が、慌てて試着室に駆け込む姿が、また可愛い。
「どうだ。着れたか、湖々海(ココミ)」
試着室の彼女に声をかける。
「……みーくん」
困惑したような声に不安になる。まさか夕べの嫌な記憶でもフラッシュバックしたのか。
「開けるぞ、どうしーーー」
試着室のドアを開けると、背中を向けて困ったような表情(カオ)の彼女。
背中のファスナーに手を当てて、泣きそうな顔でこちらを見てくる。
「なんだ、ファスナーを上げられなかったのか」
思い違いにホッとして、中にそっと身体を滑り込ませた。
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