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「やってみる?」
「そうするしかないのだろう。……『人柱』だよ」
それだけ言い残して、夜来はその場を後にした。そこには泊の青ざめた顔だけが残った。
それから、長くたたないうちに……。
「すみません」
宣言通り、夜来は交番を訪れていた。
「どうしました?」
「申し上げたいことがあるのです」
「申し上げたいこと?」
「はい。今、私が疑問に思っていること、なすべきこと、吐き出さねばならぬこと」
「は、はあ……」
芯のしっかりした声に押され、警官は一度中に入っていく。
夜来は少しだけ笑っていた。まだ望みはつながっている。
だがその笑みは予想もしない方向へ向かい、消されていく。
「何だね?」
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