No.8 [2016/01/05]

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----- 2016/01/03 -------------------- 茶碗を片手にテレビを見る高橋にニュース映像が飛び込んできた。 隣県の動物園のクマが本を読むという。 映像ではクマが爪を使い丁寧に絵本をめくっている様子が見られた。 耳目を集めここ数ヶ月、その動物園の集客に一役買っているらしい。 クマの表情がアップになったとき、高橋はあることに気づき、驚いた。 クマの顔、左耳の下あたりに毛が無い場所があった。 星のような不思議な形だ。 それは、同じだった、3日前に出会ったクマと。 高橋を追い詰め、そして何も危害を加えず去った、あのクマ。 動物園にいるはずはなかった。 一昨日、猟師に打たれて死んだ。 ----- 2016/01/04 -------------------- 暗い色の木の家具が並ぶ応接室。 「君の熱意はわかるがね。・・・虎にそんな大金は出せんよ」 「待ってください先生!グリーンタイガーですよ!全身が苔に覆われた巨大な虎、グリーンタイガーです!」 無精髭を生やした細身の男が、小太りのメガネ男に詰め寄っている。 「まあ、落ち着きたまぇ。我々はもう3年も成果を出せてないんだ。大した金は用意できんよ」 「先生!それはそうですが、グリーンタイガーを、目前まで追い詰めて、こんなところで」 細身の男は悔しげに両手を握りこみ俯いた。 メガネ男がふぅと一息吐いて中空に視線をやった。 一時の沈黙。 「・・・マラウ族に声をかけてみるというのはどうだろうか?」 「先生正気ですか!みんな殺されてしまいますよ!」 「今、調査を続ける金はないんだ。彼らの協力が得られれば調査続行は成る、そうだろう?」 「およそまともな人間の考えるアイデアとは思えません」 細身の男は部屋を見回すように思案し「しかし」と続けた。 「私は、死んでもグリーンタイガーを捕まえます」
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