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----- 2016/01/01 --------------------
相原が小箱から取り出したのは一匹のカマキリだった。
腹をつままれたカマキリが激しく足を動かす。
「イキがいいだろう? 血肉を求めてるのさ」
飯田は昆虫への不快感でやや顔を歪め。
「箱に入ってた割にはやけに元気だな」
それを聞いた相原は、その言葉を待っていたと言わんばかり
目は大きく開き口角が上がった。
「そうなんだよ。秘密はこの箱にある」
相原は手に力を込めカマキリの腹を潰した。
ぶちっという小さい音を立て体液が漏れだした。
飯田は驚き身を引きさらに不快の色を濃くした。
上下に分かれたカマキリは箱の中に落ちガタガタと足を動かしている。
相原はそのまま箱の蓋を閉じると、コンコンと拳で箱を叩いた。
そして箱を再び開くと
「手品の披露ってわけじゃなさそうだな」
カマキリは元通りの体になり、生気をみなぎらせていた。
相原はニコリと笑うと飯田の後ろを指差した。
そこには、大きな箱が置かれていた。
----- 2016/01/02 --------------------
金の刺繍が入ったその書物を開くと、
薔薇の香りが洪水のように押し寄せた。
書物に書きつけられた文字を一つ一つ見ると
どうやらインクに薔薇のエッセンスが混ぜ込まれているようだ。
よほど薔薇に思い入れがあるとみえる。
薔薇の香りの中で書物の内容に目を通していると
不意に左の掌にチクリと痛みが突き刺さった。
手を見ると小さな赤い点、何かで穴が空いた。
棘だ。
背表紙に棘がついている、おそらく薔薇だろう。
なんだろうか、掌の赤い点を見ていると、
不可解な気持ちが沸いてきた。
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