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4月から県外に就職した私は親元を離れて、1人暮らしを始めた。県内の役所に勤めているシバケンは、そのまま気ままな実家暮らしを続けていた。
お盆にも地元に帰って、シバケンの誕生日パーティーを兼ねたバーベキューが行われた。
大学時代の気の置けない仲間が集まり、年越しはみんなで温泉に行こうねなんて計画も立ててたのに……
私の人生からシバケンが急に消えてしまった。
「千秋、ごめんってば。もぅ、何回も謝ってんじゃんか~」
「シバケンのバカ。20歳の誕生日は1回しか来ないのに、ひどくない?」
「だってさ、仕方ないだろ?バイト先の先輩が失恋したとか言って、酒盛り付き合わされてたんだから。来年はきちんとするからさ、ちゃんと肝に銘じて!」
「来年じゃ遅いし」
ふと気が付くと電車に揺られていた。いつの間にか眠ってしまったようだ。
昨日はシバケンの訃報を聞いて、眠れなかったから、心地良い電車の揺れについうとうととしてしまった。
窓の外の景色を確認する。
もうそろそろ地元の最寄りの駅に着く。
夢を見た。
大学2年、20歳の私がそこにいた。
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