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「キャン キャン!」
シバケンの遺体が置かれた和室は、柴田家を玄関から入って1階の一番奥にあり、すりガラスの引き戸から庭へと繋がっていた。
窓の外から甲高い鳴き声が聞こえ、すりガラスの前を茶色い物体が行ったり来たりしている。
犬?
不思議に思って、私は扉を開けた。子犬が尻尾を振りながら、部屋の中に入ろうと後ろ脚立ちをしていた。
丸くて黒い瞳が初対面の私を捕らえる。懸命に尻尾を振る姿はどことなくシバケンに似ていた。首に青い首輪をしていた。
抱きかかえるとペロペロと頬の辺りを舐められた。なんて人懐っこい。
「その子、カウルって言うの。元気で、イタズラっ子で兼みたいでしょう?」
振り向くと、おばさんが立っていた。さっきは取り乱してごめんなさいねと謝り、シバケンの顔に白い布を戻した。
「知らなかった……この子、いつ柴田家に来たの?」
「1ヵ月位前かしら?住宅地を抜けた所にある高台、覚えてる?」
「幼稚園のあった?」
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