溶けてなくなってしまえ

3/8
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
たぶんと言ったのは、実際にあまり人を好きになったことがないため、これが本当に好きという感情なのかが分からないのだ。 しかし、佐藤先輩と当番がかぶっている日は、一日中機嫌が良いし、一緒に仕事しているときは飛び跳ねそうだし、少しでも話せたらその日の夜は先輩と話したことをずっとリピートするように思い返しているし。 だから、たぶん自分は佐藤先輩のことが好きだ。たぶん。 今日もまたいつも通りに仕事をもくもくとする。 自分が仕事をしながら先輩と気さくに話せるタイプだったら良かったのに、と何度思ったことか。 そんな器用なタイプでもないし、びびりな性格なため、作業中にだらだらと喋って先生や先輩に注意されたらと思ってしまい、ずっと黙って仕事をしてしまうのだ。 今日もあまり佐藤先輩と話せないなーと思いながら作業をしていると、 「なー、みきちゃん。最近学校楽しい?」 「佐藤先輩ってよくそのこと聞きますよねwまあまあって言う感じです」 「そういえば前に言ってたクラスの友達はどうなったの?」 「あー、まだ継続中です」 この佐藤先輩が言っている「クラスの友達」のことだが、これもきっかけで佐藤先輩のことが好きになったのではないかとも思っている。 「クラスの友達」とは、つまりクラスでよく一緒に過ごしている友人との意見のすれ違いがあり、現在自分はクラスに居づらい状態なのだ。 いじめとまではいかないが、軽く無視をされることや、本人のいない間に悪口を言われるなどをされている。 原因は、授業のグループワークで自分が少々空気の読めない行動をし、不愉快な思いをさせたことだと思っている。 このことを先輩に少しだけ相談したら、親身に聞いてくれ、励ましてくれた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!