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窓の向こう側で静かに降る雪が、外の世界を白一色に変えていく。
「・・・・・・・・・・・・」
その光景を少女は物憂げな表情で見つめる。
絵になる姿だが、ここは1人の寂しがり屋な少女の心の世界。
少女がいる場所は、誰もが持っている心の中の大切な場所。
他人に踏み荒らされたくない、聖域と呼んでもおかしくないそこが、少女にとって唯一の拠り所。
手の中の本には楽しかった思い出ばかりが詰まっている。
少女は自分の世界に閉じこもることで、明日を生きる力を得ていた。
そんな世界で降る雪は、他人から与えられた痛みや苦しみ、そしてそれらにじっと耐えることで生まれてしまった心の歪みだ。
もし、この世界の全てが雪に包まれてしまったら、女の子は感情がない人形になってしまう。
それまでに人の暖かみが雪を溶かせるかどうか。
それは、少女の声にならない悲鳴に、周囲が気が付けるかにかかっている。
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