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「入荷は二週間後になりますが……ご予約で宜しいですか?」
ひとまず着席を促して、宰は手近にあった資料を取り出す。しかし、どうもひっかかる。それもそのはず、直前に優駿が、「今これ使ってるんですけど」と言って取り出した携帯は現在も最新機種として店頭に並んでいるものだったのだ。それもまだまだ契約台数を伸ばしているような、売れ筋の機種。
要するに、前回の機種変更からそう時間が経過していないと言うことは明らかだった。
「え、予約になるんですか? しかも二週間? んー……。でもまぁ、いっか」
加えて、優駿が希望したモデルは新機種の中でも一際高額だ。にもかかわらず、ほとんど即決で契約を進めようとする。それもこの様子だと、単に『ぱっと見気に入ったから』と言う理由だけで。
宰は聊か心配になった。
「携帯コーナーに小泉さんとこの息子さんが行くから、対応よろしく」と、相手が何者であるかはあらかじめインカムで知らされていたため、金はあるからと言われても驚きはしない。
驚きはしないが、実際目の前の優駿はまだまだ一見高校生と見えなくもないような雰囲気もあり、一介の販売員である宰が気にすることではないと解かっていても、性分だろうか、結局放っておけなくて口を挟んでしまう。
「あの、小泉さん?」
機種変更の手続きに伴い、呼び出していた画面を確認し、改めてその名を呼びかける。
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