2.風波と偽りの凪*

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「反省したんです。だって俺、美鳥さんに嫌われたくない……」 「嫌うも何も……。好きか嫌いかだけで言えば、私は年下は嫌いだと前にも言ったでしょう」  頭に犬の耳でもあればさぞかし力なく伏せられているのだろう。優駿の挙動はそんな光景を彷彿とさせる。 「……ホント、めげないコねぇ」  パソコンを操作する傍ら、薫が苦笑混じりに呟いた。 「いいから学校に行きなさい」 「美鳥さんが許してくれたら行きます」  展示機種の在庫表示を確認しながら、サンプルの並びを整えていた宰の手が止まる。 (……だから、許すも何も……)  その無駄にはきはきとした物言いに、宰は閉口し、ただ頭痛がするとばかりに額を押さえた。 「宰」  と、不意に通路側から、聞き覚えのある声がかかる。半ば棚の死角となっていた場所から姿を現したのは柏尾だった。
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