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俺はあまりにも真面目に俺の軽い質問に答えてくれた春香にただ、困惑と、なにかただならぬ想いがあるのだと思った。
世の中にはこんな真面目な女の子もいるんだな。
写真をふと見つめる。
これは恐らく高校生の頃の美術部の合宿だろうと思った。
俺にも判然のある状況だったからだ。
美術部にいれば誰でもわかる。
夏になると合宿へ行って民宿とかに泊りがけで絵を描きに行くんだ。
夏の眩しい光、河原でイーゼルにキャンバスを立てて油絵の道具を開いている。
遠くに青々と緑が茂った山が見え、息を吸い込むと朝の冷たい空気で胸がいっぱいになる。
美術部の合宿、おにぎりは合宿先の民宿でもらったりする。
いつもは美術部の仲間同士や他の先輩を交えて話すのに、この日は二人きり。
春香は自然と鼓動が激しくなる。
春香がキャンバスに向かっていると、彼がふいに近づいてきて……。
「……春香の絵っていいな、素朴で」
そうこうしているうちに二人は急接近!
うわぁああああ!! 考えたくねぇーーーー!!
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