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「じゃあ6時過ぎに書類を持って病室に行くよ」
「はい、お願いします」
「じゃあまた後でね」
そう言うと藤崎さんは出口の方へ行ってしまった。
突然訪れたチャンス。君と同じ高校への進学は無理だと思っていた。でも奇跡が起きた。
自分で言った事だけどこんなにすぐに奇跡が起こっていいのかな。いい事だらけで不安になっちゃうよ。
私は病室に戻るとどうやってお父さんとお母さんを説得するかを考え始めた。せっかくのチャンスを諦めたくない。
しかし有馬くんに近づく為に嘘を吐くことしか思いつかなかった私にいい案が浮かぶ訳もなく、気が付けば日はすっかりと沈んでしまっていた。
「どうしようもうすぐお父さん達が来ちゃう」
コンコン
何も浮かばずに慌てていると扉をノックする音が聞こえてきた。
「はい」
「かをり調子はどうだい」
返事をするとお父さんとお母さんが入ってきた。
「うんすっごくいいよ!早くリハビリしたいよ」
「それは良かった。でも無理するんじゃないぞ」
「うん」
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