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「上原、オメー、誰になんて言ったんだ?」
教室に戻ると、大八木が、いつものエルボーを俺にかけながら言う。
「キヤー」
同時に女子共の歓声。何、何?
「何かあった?」
と周りを見回しながら尋ねる俺に、
「俺とお前は、付き合ってるのか?」
大八木はガッチリとした体を少し揺らしてニヤリと笑う。
「何、で?」
確かに、歓声を上げた女子共は、俺たちをガンガンに見てる。
試しに、大八木の肩を触る。
「キャー」
れ、連動してる。
もう一度ためし、肩をトントントン。
「キャー、キャー、キャー」
よく出来てる。次は…
「上原、遊ぶな」
「すまん、面白くって」
「お前に告った女が、俺がお前と付き合ってるのか?そうなら、お前と別れろーって言ってきたぞ」
「あ、悪ぃ、大八木。
俺、男の方がいいって、言ったかも」
「断るにしても、断り方ってものが、あんだろーが」
そう言う割には、楽しそうじゃん。
他人事だなー。
「ところで上原、職業トライアルどうなった?」
「俺、保育園」
「ふーん、お前、そういうのに興味があったんだ」
大八木は少し驚いた顔をした。
「そうだよ。意外か?」
「ああ。お前はOLの方が好みかと思ってた。
可愛い保育士さんと出会えるといいな」
「そっちの興味じゃない」
大八木のこめかみにパンチしたが軽くかわされた。
「で、メンバー誰?」
「守屋、守屋智って子 」
「あーあいつか」
大八木がニヤリと笑った。
「大八木、知ってるの?」
「ああ、結構有名だよ。数学の谷崎と凄く仲いい女子だって」
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