第2章 恋に堕ちて

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 その時である、クリスチーナが切り出した。 「ワタシ、コレカラ、ユウタノ、カンコウアンナイスルヨ!」 僕は、あまりの嬉しさに、小躍りしそうになる自分を、懸命に押さえていた。 いつしか二人は、クリスチーナ、ユウタと呼び合う仲になっていた。 僕とクリスチーナは、ルーヴル美術館を背に、カルーゼル凱旋門を抜け、世界一のメインストリートと呼ばれている大通りを、歴史軸の如く、時代に沿って、過去から未来へと向かって歩いた。 チュイルリー庭園を眺めて、コンコルド広場を通り、シャンゼリゼ大通りを抜け、エトワル凱旋門へと向かう、徒歩で約40分ほどの定番観光コースである。 しかし、それは、ミッテラン大統領の「パり大改造計画」により、ラ・デファンス地区にグラン・アルシュ(新凱旋門)が建設される、1年前のことだった。
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