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しかし勢い込んで言った俺に、
「チートってなぁに?」
神メンの純粋無垢な眼差しのカウンターが炸裂する。そこへさらに、こてんと無邪気に小首を傾げるという追撃コンボが鮮やかに決まった。
「‥‥‥‥」
だが、きかぬわ!
これが可愛らしいお嬢さんとかなら俺は良心の呵責に苛まれて復活不可能なまでに打ちのめされていただろうが、キサマが野郎である時点ですべてはムダだ!ムダムダムダぁ!!
「あれ、どうしたの?なんで泣いてるの?!」
「涙ではない、これは汗だ」
漢という生き物は、両目から心の汗を流す時がある。特に世の人々から反感や批判を受けると判っていても、己の信念を曲げられぬ時などにひっそりと流す事があるんだ。
うん、要するに卑怯と判っていても止められない、止まらない。
「衣食住の心配をしなくてよくて、病気やケガの心配もいらない不死身に近い体に転生させて下さい!あと、人里離れた秘境に放り出すのは止めてね?!」
俺はいい笑顔でそう言った。
この時の俺は、本当にどうかしていたんだと思う。いや、多分信じていなかったんだ。
神メンがマジもんの神だとか、全く信じていなかったんだ。
だから──
「ウッホッホ!ウッホッホ!」
「アィヤァアアアアーー!!」
だから今、奇声の大合唱にさらされているわけだよね?!
『やかましいわぁあああああ!!』
そして神メン、話が違う!これは違う!
確かに衣食住の心配はないよ?だってトーテムポールだもの。そして確かに病気やケガの心配もないよ?
だってトーテムポールだもの!
さらに言うなら、ここは人里離れた秘境でもなくて人里のど真ん中だよね?
『ただし原始人の集落だがな?!』
くそう!どうしてこうなった?!
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