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「そんなん俺が聞きたいって。」
「で、中身は何て書いてあったんだ?」
副長の土方歳三が聞いた。
「それがさぁ、なんか詩っぽいんだけど難しいというか、読みにくいっていうか……訳がわからなくてよ。とりあえず見て欲しいんだって」
例の巻物を前にかかげ読むように促せる。
一体何が書いてあったのか、藤堂以外の全員が息を飲んで土方が読み上げるのを待つ。
土方は巻物をめくり、早速飛び込んできた文に眉間の皺を深めた。
「満月来たりし丑の刻。書を踏み量の手を掲げ祈りを捧げよ。さすれば先の世より来たる娘ありけり。」
怪訝な顔を浮かべながらも、読み終えた彼は巻物をそっと地面に置いた。
「な?変だろ?」
見たか見たかと言うように彼はこの場全員に呼びかける。
「まぁ変っちゃ変だが、子供の悪戯かなんかだろ」
夕餉を食べ終えた土方は、くだらない、と言った表情を浮かべ、立ち上がる。
どうやら自室に帰っていったようだ。
「本当に連れない人だね、土方さんは。」
「まぁまぁ総司。トシも忙しいんだ。」
「でもよぉ、なんか面白そうじゃねえ?何の導きか知らねぇが今夜は満月だしよ!」
「だな、ここにいる奴だけで試してみるか?」
上から沖田、近藤、永倉、原田が言う。
彼らも本気にしてはいないが興味はあるらしい。
思ったより乗り気な人が多いことに藤堂は気をよくし、
「よっしゃぁぁあ!じゃあ丑の刻に広間に集合な!!!」
と無邪気に叫び、約束を取り付けたのだった。
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