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『……痛っ!!』
急に浮いたかと思えば突如襲いくるお尻の痛み。
なんてことだ。
20歳にしてこんな派手に転ぶだなんて…
彼女、藤沢花音は羞恥に晒されながらも、ゆっくりと立ち上がった。
恥ずかしさはあるものの、周りを見回すと色んな人がこちらを見ていたのだが………
「……本当に…落ちてきた…」
「お、おい嘘だろ?」
「(これは夢だ、夢なんだ)」
「あはは、落ちてきちゃったね。しかもちゃんとしっかり女の子」
「と、トシ!!本当に降ってきたぞ!トシ!」
花音の目に映ったのは幽霊でも見たような反応をする大の男たちであった。
『…え、なにこれ?』
自分は一体どうしてしまったのだろうか。
盛大に転んだかと思えば、いきなり別の場所、しかも人様の家に土足で上がりこんでいた。
『………』
突然すぎる出来事に現実を受け入れることができない花音はただ立ち尽くす。
「近藤さん!?なんだ今の音は!!」
誰1人口を開かぬ中、事態を知らぬ土方が何事かと思い、抜き身の刀を持ちかけつけてきた。
そして中の幹部連中、さらにその中心に立つ花音を見つけた彼は刀を花音に向け、
「なんだテメェは…」
と、まるで花音が侵入者のように問いかけた。
一方花音はというと、土方の放つ気と初めて見る刀に怯え、言葉を発することができなかった。
「ちょっ、土方さん!落ち着けって!そいつは侵入者じゃねぇ!」
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