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『(私って侵入者だと思われてるの!?というか何でこの人たちみんな着物着てるの?変なとこにいるしもう訳がわからないッ!)』
いつの間にか知らない場所にいた上に侵入者扱いだなんて…
まだ庇ってくれる人がいるだけいいけど、一体どうなってるの?
ただ突きつけられる刀の先端を怯えた瞳で見つめる花音と庇う平助。
「トシ、誤解だ。その…なんていうかさっき平助が言った巻物を例のあの時間に試したんだ。そしたら信じられんかもしれんがこの女子が……」
未だに刀を降ろさない土方との間に近藤が説明に割って入る。
近藤に言われたらもう信引くしかない土方は、ハァと溜息をつき鞘に刀を納めた。
「おい、テメェ。」
『は、はい!』
緊張が緩んだ次の瞬間にいきなり声をかけられ花音は再び身を強張らせる。
「土方さん、この子怯えちゃってますよ。勝手に平助の変なおまじないで呼び出されたのに可哀想じゃないですか」
一見花音を庇うように見える彼の発言ではあるがこれは土方に対するいつもの当てつけである。
しかしそれを知らぬ花音は、この人は良い人、と、1人誤解しているのであった。
「それより土方さん、こいつ何も知らねぇような感じなんだが…とりあえず話を聞かせてやってもいいんじゃねぇか?」
降ってきた当の本人だけが何もかも理解していないことに同情した原田は土方に切り出す。
「ったく面倒なことしやがって…。お前、とりあえずそこに座れ」
ぶっきらぼうにそう述べ、彼は花音に座るように促した。
刀を向けられたからには従うしかない花音。
こくんと首を縦に振ると、その場に座り込んだ。
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