第1章

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年が明けてまた新たな年になった。 なんだか寒くて雪なんて降ってる。 親の反対を押し切って東京の大学に 進学して今年で2回目の帰省。 成人式前で青っぽい生地に白い花が 散りばめられた透明感のある振袖。 帯が体を締め付けて苦しいけど 背筋が伸びて大人になったみたい。 いや、 大人になったんだ。 10代じゃできなかったこともできるんだ。 例えば… お酒飲んだりとか? んー、あとは…。 …… 彼ともう一度笑いあえたり…とか。 そんなこと願っちゃいけないって わかってるよ。 そう思って忘れようってでも… 彼と別れたのは2年前私が東京に 行くからって私から 別れを切り出したんだっけ。 東京の1人暮らしは心配だったけど 案外大丈夫で友達もできて 彼氏だって。 でも、うまくいかなくて すぐ別れちゃった。 その時の喪失感なんて全く無かった。 彼に比べれば そして、1回目の帰省の時駅で 彼を見つけた。 でも、隣には女の子がいて心が 無償に痛かった。 私から別れを切り出したのに。 なんで?好きってこと? そう考えて東京に帰っても モヤモヤしたまま。 そして今日、成人式である。 「そろそろ行くわよー!」 そんな母の声が聞こえ縁側から 玄関に行き下駄を履き会場へ向かう。 会場は新成人と親御さんで 溢れかえっていて 「あらー、すごい人ねぇ」 そんな母の言葉も耳に入らないほど 自然と彼を探しているように 辺りを見渡してしまう。 暫くして、会場の扉が開き人の波が 動き出す ……!!! 彼だ。 一目も降らず人波をかき分けて進むと そこに見えたのは彼と あの時の女の子。 やっぱり…ダメだよね…。 そう思って背を向けて母のいる方へ 戻ろうとすると 「ねぇ!雪?」 右手を掴まれて振り返る。 「…奏?」 そこには驚いた顔をした彼がいた。 それに驚いた言葉も。 「雪、俺やっぱお前と一緒にいたい」 そんな言葉。 え、でも彼女…は? 「彼女、いるんじゃないの?」 二股とか最低だよ。 でもそれはいい意味で裏切られた。 「あいつは俺の従姉妹だよ」 安心したのかな。 何だか涙が出た。 「奏、私も好き。 今までごめんなさい」 その言葉と共に抱擁されて あったかくて寒さなんて吹き飛んだ。 また一緒に笑いあえる。 君と
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