第1章

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「止まない雪はねえですからいましばらくご辛抱を」 「…ないのかしら、止まない雪は」 「明け方には止むようで。こんな宿に足止めされて、さぞ退屈でしょう」 「わたし、そんなこと少しも」 「せめて気のきいたことが言える話し相手でもいればなあ、あっしみたいな木偶の坊じゃなくて…よし、薪足したんでストーブも一晩中あったけえ」 「…ねえ、ちょっと人払いしていただけません?」 「あ、それじゃ給仕の者にそう伝えて…あっしは外で薪でも割ってきましょう」 「違うの、あの…」 「?」 「二人きりで…お話したいの」
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