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 その日の晩。貴女からメールが届いた。何回も何回も、繰り返し読み返したドットの集合。貴女らしいシンプルな文面だった。  『今日はごめん   ずっと悩んでたんだけど   やっぱり言っとくことに   する   絶対にあなたは反対する   だろうけど、でも聞いて   おいてほしい』  一旦、そこで途切れたメール。私はただそれを了承する意を示した返信をしただけだった。  次のメールを受信するまでにしばらく時間がかかった。相当長い文章をまとめているのだろう、と私はそう思っていた。  しかし。届いたメールはたった二行の簡単な文章であった。私はその文字の羅列を一度読んだだけでは理解できなかった。何度も何度も、その時だけで繰り返し読んだことを覚えている。  『あたし死ぬね   ごめん、さよなら』  貴女の遺書はたったこれだけだった。この遺書に、私は何通のメールを返信したのだろう。携帯電話の送信ボックスを確認する気にもなれない。  私は止められなかった。  やがて、サイレンが響いた。親からも近所で火事があったと聞いた。  貴女の家は近所だった。
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