第2章

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突然、教会の鐘のように伸びのある音色が出入り口の扉の方から繰り返し響いた。スイートルームは呼び鈴も上品なのだ。 私は思わず「ヤバッ」と、声を漏らし顔をしかめる。 もう、お迎えの時間か……。 「はーい」 バスローブのはだけた胸元を直しながら扉を開くと……茶髪の男が、深々と私に向かって頭を下げた。 「おはようございます。」 スッと顔を上げたその男が姿勢を正し、私を見下ろす。 「おはよう」 端整な顔付きの彼は私の格好に不快感を露にした。みるみる青ざめる顔色。 せっかくのイケメンが台無しだ。 「……まさかとは思いますが。副社長は?」
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