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「あたりぃ~」
悪臭の真っ只中で、久しぶりに会った同級生はニヤリと笑った。
「僕、ずっと探してたんだよ。
キミのことを。
…。これを渡したくてさ」
この胃液が込み上げてくる悪臭の原因を、宮本はずいっと俺の目の前につきだしてきた突き出してきた。
うっ!!
思わず手で口元を覆った。
「お前。
頭おかしいだろ…。」
涙を目に浮かべながら俺は宮本を怒りと恐怖のこもった目で睨み付けた。
宮本の手がぶら下げている透明のビニール袋には、橙のような、茶色のようなぐちゃぐちゃなものがどっぷりと入っていた。
ところどころ、あぶくや緑色のカビまみないなものも見える。
「キミ、食べてくれるって約束したろ?
僕がどうしても食べられない、酢豚のパイナップル。
大人になってからも苦手なのに。
妻も酢豚にパイナップルを入れて作っちゃうから」
「いつの話をしてんだ!
大人になったら捨てりゃいいだーー」
!!
俺はそれ以上言葉を出すことができなかった。
なぜなら、後ずさる俺の上に飛びかかるように押さえつけてきた宮本が、
あの時の約束を守らせたからだ。
袋のまま口に押し込められたビニール袋が、押し込み続ける宮本の手によってブチッと切れたのと、
俺の意識が途切れたのはほぼ同時だった。
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