独白。満員電車

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「どんだけ可愛いんだよアンタ。男のくせにくっそ可愛いってホントマジ意味わかんねぇ」 「そんなつもりは……っ。相川サンがそんなこというから」 赤くなる。顔を逸らそうとするのでキスで堰き止めた。 「渉。わたるって呼んで。でもゴメン、優、辛そうだけどもう少し付き合って」 「え? 何? あ、やだぁっ、まだすんの?」 「当たり前じゃん。俺イッてないし。優が感じてるトコ、もっと見せて――」  俺は優が放ったものを繋がりの場所に塗りたくり、グチュグチュと淫猥な音を楽しみながら優の中を何度も穿つ。  潤滑が新たな快楽を生み、俺が果てるまで、優は何度も達することになった。  そして、スピード証明写真のブースを出る頃には、優はコンディション的にも出社困難な状態となり、俺は宣言通り、優を自宅に連れ帰った。  俺の方はというと、オンライン共有している社内ワークグループのスケジュールが、沢田によって〝終日打ち合わせ→直帰〟とされていた。  今朝見た沢田は別人のように雰囲気が違ったが、自分の痴漢行為を目撃されたのだ。俺に弱みを握られてしまったと思っているのかもしれない。 「もう電車の中でエロいこととかすんなよ。つか俺以外と誰ともやるな。絶対だかんな」 時刻は平日の夕方。普段なら「今日も残業か」とため息をついている時間に、思いかけずできた恋人とふたり、裸でベッドに居る。  通勤途中で帰宅して、改めてベッドで絡みあった。 始まりこそエキセントリックだったが、ベッドの上でも今までにない快楽を極め、好きだと思った直感が本物だったことを実感した。 「うん、もうしないよ。今朝のあれは沢田のアイデアだったから」 「は?」
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